仕事を辞めた時に心強い味方となってくれるのが、失業保険ですよね。
失業中に条件を満たしていれば失業手当として一定のお金が支給されます。
でも気になるのは失業手当を受給中に再就職先が決まったらどうなるの?という事ではないでしょうか。
失業手当は再就職が決まった後でも満額貰えるのだろうか、それとも貰えなくなってしまうのか?
次の就職までに期間が空いてしまうと不安ではあるけれど、せっかくだから失業保険の恩恵を最大に受けつつ少しゆっくりしたい!という気持ちもあるかもしれません。
そこで今回は、失業保険と再就職の関係性、どこまで失業手当は保証されるのか、再就職はギリギリまで伸ばした方がお得なのか、といった疑問にお答えしていきたいと思います。
失業保険受給中に再就職が決まると失業手当の受給はストップする
始めに結論から述べてしまうと、失業保険受給中に再就職が決まった場合、失業手当はストップします。
これは文字通りなので当然なのですが、“失業”保険なので再び働き始めたらこの手当は貰うことができません。
代わりに再就職手当が貰える
本来貰えるはずの失業手当が貰えなくなってしまうのだったら、失業保険が適応されるギリギリまで就職をしない方がお得じゃないか!
と、このように考える方が出てきて、本来なら就職できるのにあえて働かないという人が大勢出てきかねませんね。
しかし、国としては本人のためにも、日本経済のためにもできれば、早めに再就職してほしいと考えています。
そこで失業保険を全額受け取る前に再就職した人のための手当として、再就職手当という制度があります。
再就職手当については次の項目で詳しくお伝えしていきます。
失業保険と再就職手当はどちらがお得なのか
失業保険とは別に再就職手当というものがあるという事は分かったけれど、結局どちらがお得なのかというポイントは気になりますよね。
せっかく国が制度を整えているのだから、その恩恵を最大に享受したいと考えるのは当然です。
そこでここからは失業保険・再就職手当それぞれを詳しく説明したうえで、どちらがお得になるのか考えていきたいと思います。
ただ、ここで一つ付け加えさせていただくと、お金はもちろん大切ですが、それ以外にも目を向けてほしいポイントがあるという事です。
このポイントは後程ご紹介します!
失業保険でもらえる金額・条件
では、はじめに失業保険についての説明からです!
失業保険とは
失業保険とは雇用保険であり、会社の給与から天引きで支払う公的保険制度の一つです。
勤務先を退職したのちに次の仕事が決まるまでの間、国から失業手当が給付されます。
簡単に言うと、失業中は当然収入がなくなるので、その間の生活を国が援助するというものです。
また、この失業保険は再就職を応援する意味も兼ねています。
とりあえずの生活のために目先のアルバイトや日雇いの仕事に追われているようでは、思うように就職活動が行えませんよね。
余裕を持ったうえで再就職のための準備を進めてほしいという思いやりも隠されています。
条件
仕事を辞めたら誰でも失業手当が貰えるわけではなく、失業保険を受給するためには条件があります。
まず、前提条件として雇用保険に加入していること・積極的に就職しようとする意志があるかどうかです。
正社員に限らず、アルバイトや派遣正社員に限らず、雇用保険に加入していれば失業保険を受給することができます。
また、就職できる能力があり、積極的に就職活動を行っているものの、就職に至らないという事が前提条件となります。
前提条件を満たしたうえで、対象者の退職理由によって条件が異なってきます。
(転職・企業など)
→条件:離職日以前の2年間のうち1年以上の被保険者期間
タイミング:待期期間7日間+3か月の給付制限期間の後
(怪我・病気・家族の介護のため、倒産・退職推奨など)
→条件:離職日以前の1年間のうち6か月以上の被保険者期間
タイミング:待期期間7日間の後
(定年退職・雇用契約満了など)
→条件:離職日以前の2年間のうち1年以上の被保険者期間
タイミング:待期期間7日間の後
(*待期期間…失業保険申し込みから実際に支給されるまでに一律で定められている期間
給付制限期間…待期期間後に定められた失業手当給付までの期間。条件により異なる)
金額
支給される金額は年齢や勤続期間、条件によって異なってきます。
受給額によって算出され、計算式は以下になります。
上の式に出てきた基本手当日額は以下のように計算されます。
所定給付日数は条件と年齢に依存します。
今回は仮の条件をつけた男性Aの給付額を計算してみます。
(*給付率…年齢や条件によって変化する係数)
このように計算されます。
*条件や給付率は対象者によって細かく変化しますので、自分の正確な給付金額が知りたいという方は管轄区内のハローワークに問い合わせるようにしましょう。
再就職手当でもらえる金額・条件
次に再就職手当について説明していきます!
再就職手当とは
再就職手当とは失業手当の受給期間が残したまま就職した場合に給付される一時金です。
こちらの手当もとてもありがたい制度ではありますが、失業保険と同様に様々な条件があります。
条件
少し捕捉しますと、失業手当の支給残日数が3分の1以上であれば支給残額の50%が、3分の2以上であれば60%が一括で支給されます。
給与制限を受けている場合であっても1か月間以降であれば、自身で探し出した仕事でも手当は支給されます。
金額
再就職手当の金額についても、先程の男性Aの例を用いて計算してみます。
仮に支給日数90日間の内30日間を残した状態で就職したと考えた場合、支給残日数は支給期間の3分の1なので以下のような計算になります。
こちらの再就職手当も失業保険同様、正確な金額や自身の条件確認は管轄区内のハローワークに問い合わせるようにしましょう。
金額だけで見ると失業保険の方がお得。しかし金額以上のデメリットが
失業保険と再就職手当、それぞれ簡単ではありますが金額を算出してみましたが、いかがだったでしょうか?
一つ忘れてはならないのが再就職手当の場合は、上記の金額にプラスで一か月分の新しい職場からの給与が含まれるという事です。
ただ、それを加味したとしても(新しい職場の給与額や個人の条件、年齢などによって金額は変わってきますが)金額だけでみると失業保険を満額受領した方がお得であると言えるでしょう。
しかし、金額以上に考慮するべきポイントがあることを忘れてはいけません。
失業保険受給中の肩書は無職
当然ですが、失業保険受給中のあなたの肩書は「無職者」になります。
再就職をギリギリまで伸ばすことによって失業手当を受け取ることができるかもしれませんが、それはつまり、無職としての期間が長くなるということでもあります。
そしてそれは履歴書にも空白の期間として表れます。
無職期間の長期化による再就職の難易度が上がる
無職期間が長期化すればするほど再就職の難易度が上がります。
失業保険は再就職までの期間を安心して過ごせる制度ではありますが、当然個人差はあるものの、期限が定められています。
安心だからと言って油断をして無職としての期間が長期化してしまった場合、そもそも次の仕事が決まらないという事になりかねません。
再就職手当は再就職を促進するための制度
失業保険という制度を国は整えていますが、あくまで一時的で補助的な制度です。
再就職手当という制度を別途で用意することで再就職の促進を促しています。
再就職手当は再就職が早期であればあるほどお得になる
再就職手当の条件を見て気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、再就職手当は再就職が早ければ早いほど得になるよう設定されています。
支給残日数が3分の1か、3分の2かどうかは大きな金額の違いにつながります。
就業促進定着手当という別制度がある
また、就業促進定着手当という別手当も存在します。
こちらは文字通り就業促進定着のための手当であり、再就職を支援する手当となっています。
再就職先の賃金が離職時の賃金を下回ってしまった方に対して支給され、再就職手当の支給を受けたこと、再就職先で6か月以上経過していることなどの条件があります。
下がってしまった賃金の差額が手当として支給されます。
できるだけ早い再就職を目指すべき
失業保険をギリギリまで受給するべきか、再就職を急ぐべきかという議論をしてきましたが、結論を言ってしまうと、再就職を急ぐべきと言えます。
怪我や病気による前職の退職の場合はきちんと時間を空けることも必要でしょう。
しかし、金額うんぬんの話の前に無職期間が長くなってしまうことによるデメリットが大きいです。
採用されにくくなる、仕事のカンがなくなる、経験値がなくなるなど挙げるときりがありません。
再就職手当をはじめとして、少しご紹介した就業促進定着手当など、再就職を支援する制度もありますので、再就職に取り組みましょう。
まとめ
失業保険と再就職の関係性についてお伝えしてきましたが、いかがだったでしょうか?
結論として、再就職を急ぐことをおすすめしていますが、大切なのは再就職に全力で取り組むということです。
せっかく失業保険という制度を国が用意してくれていますので、しっかり活用したうえで、できるだけ引き延ばしてやろう、というような考えではなく再就職活動を頑張ろうという考えで過ごすようにしましょう!