転職したいと考えて活動を始めるときにはできるだけ速やかに内定をもらいたいと思うでしょう。
転職サイトの宣伝広告には高い内定率を誇っていることをアピールしているものがたくさんあり、登録すればすぐに転職できると考えるかもしれません。
本当に転職サイトを使うと内定率が大幅に向上するのでしょうか。
実際に転職活動をしている人たちがどのような状況に置かれているかを知っておきましょう。
まず知っておきたい内定率の定義の実態
そもそも内定率とは一体どのような指標なのかを考えたことがあるでしょうか。
内定率が高ければ転職に成功しやすいと漠然と考えているかもしれません。
その定義がどうなっているのかはよく理解しておく必要があります。
内定率の定義は実は曖昧
内定率は実ははっきりと定義されている言葉ではありません。
使用されている文脈によって意味に違いが出てきてしまうので気をつけなければならないのです。
内定率の定義としてまず考えられるのが、求人にエントリーしたときにどの程度の割合の人が内定を手に入れられているかを示す指標というものです。
四つの求人にエントリーしたら内定が一つだけ出たという場合には25%の内定率ということになります。
90%の内定率があったとすれば、全体として見たときに10回応募すれば9回は内定をもらえるという驚異的な数字だと言うことができるでしょう。
一方、転職活動をして最終的に内定をもらえたかどうかの指標ということもあります。
この場合にはその転職サイトを利用して転職活動をしている人が10000人いたとして、そのうちの9000人が内定をもらうのに成功し、1000人が内定をもらえずに諦めたというデータがあれば、内定率が90%ということになります。
このように内定率が定義されている場合にはどれだけエントリーしているかは度外視されています。
何十社にもエントリーしてようやく転職先が決まっている人もいる一方で、たった1社しか受けていないのに内定をもらっていることもあるのです。
内定率が高い転職サイトが魅力的とは限らない
このように内定率の定義が曖昧な影響で、内定率が高いことをアピールポイントとしている転職サイトは必ずしも魅力的ではないと言うことができます。
エントリーしたときに内定をもらえる確率が高いのなら速やかに転職できる可能性が高いかもしれません。
しかし、最初にふるいをかけていて、内定をもらえる可能性が高い求人しか紹介してもらえないリスクもあります。
落ちる覚悟でチャレンジするような応募の仕方が許されていない場合もあるのです。
また、内定率が転職できるかどうかの指標となっている場合にはさらに問題は切実です。
転職にかかっている期間は無視されているので、いつになったら転職できるのかがわからない場合もあります。
安易に内定率が高いという理由で登録する転職サイトを選んでしまうと思っていたように転職活動が進まずに苦労する可能性もあるということはわきまえておきましょう。
母集団も考慮しておこう
もう一つ考慮しておきたいのが転職サイトに登録している人がどのような母集団かということです。
転職サイトはニーズに合った求人を紹介できるように、登録者の候補を絞り込んでいることもよくあります。
ハイクラス向けの転職サイトならキャリアが充実している人が登録しているのが通例で、そのキャリアを活かして働ける職場を紹介してもらっています。
マッチング率が高めなのは必然的で、内定率も高くなる傾向があります。
しかし、未経験の業界に挑みたいと思っている人が母集団として多い場合には内定率は低くなってしまいがちです。
このように転職サイトの特色も考慮して内定率の高さを評価しなければならないのは念頭に置いておかなければならない点でしょう。
どのくらいエントリーすると内定がもらえるか
転職サイトを利用して転職活動を行ったときに、どのくらいのエントリーが必要なのかというのは興味がある人が大勢いるポイントです。
内定率と極めて近い指標ですが、曖昧さがないので信頼できる情報だとも言えるでしょう。
近年の転職市場ではどのような傾向があるのでしょうか。
平均的なエントリー数とは
転職サイトでは転職に関する情報発信をしばしばおこなっていて、自社内で行った統計データによる転職事情が公開されています。
平均的なエントリー数についても公表があり、例えばマイナビ転職から提供されている情報によると平均応募数は8.4社です。
8社から9社のエントリーで1つは内定がもらえるという計算になります。
ただ、同時応募をして複数の会社から内定をもらっているケースもあるので、実際にはもう少しエントリー数が少なくても内定をもらえる可能性もあるでしょう。
年齢によっても状況はかなり違う
この平均応募数はあくまで全体的な平均だということには注意しなければなりません。
実は年齢によって必要なエントリー数にはかなりの差があります。
全体的な傾向としては若いほどエントリー数が少なくて済み、定年が近付くにつれてかなり応募しないと内定がもらえていないのが実情です。
若手の場合には将来的に長く働いてくれると期待できるので企業側も積極的に採用を検討できます。
それに対して年齢を重ねている人の場合にはこれから成長を期待することもあまりできず、採用して即戦力になってくれても期間はそれほど長くないという問題があるのです。
マイナビ転職のデータによると20代前半なら6.3社のエントリーで済みますが、40代に差し掛かると10社以上もエントリーしないと内定がもらえないということになっています。
60代にもなってしまうと平均して15.2社も受けている実態があり、加齢と共にエントリー数を増やす必要があることが示されています。
業界による差もあるので注意
内定率は業界による差も大きいので情報を集めてみることが大切です。
人材不足が嘆かれている業界では内定率は高くなりやすいですが、比較的人材は足りていて優秀な人だけが求められている業界では内定率が低くなりがちです。
業界ごとの人材不足の状況は刻々と変化しているので、転職しようと思ったときに情報収集をしてみた方が良いでしょう。
内定率を上げるためのコツ
速やかに転職を達成するためにはどのような意味であっても内定率を上げるに越したことはありません。
内定率を上げるにはどのような対策をしたら良いのでしょうか。
転職サイトの選び方を検討するのがコツなので、状況に応じて適切なサイトを選べるようになりましょう。
マッチング力を重視して転職サイトを選ぼう
内定率を上げるための基本はマッチング力がある転職サイトを選ぶことです。
転職したいと思っている人が求めている年収や勤務条件、業務内容と、企業が求めている人材の能力や経歴が完全にマッチすれば雇用契約が成立するのは確かでしょう。
そのマッチングをしているのが転職サイトなので、その力量が優れているほど内定率が上がります。
転職サイトに記載されている内容からマッチング力が高いかどうかを判断するのは難しいですが、登録してエージェントとやり取りをしてみると力量が不足していないかどうかはすぐにわかります。
最初に紹介してくれた求人に魅力的なものがあるか、条件がしっかりと一致しているかといった観点で見てみると良し悪しを判断できるでしょう。
専門職なら専門サイトを選ぼう
マッチングをする上で専門性に関する知識や経験は欠かせないものです。
専門職として働いている人が転職するときには、その専門分野に強い転職サイトを選ぶと内定率が上がります。
専門業界での常識や人材募集の傾向などをよく理解しているエージェントにマッチングをしてもらうとミスマッチはあまり起こりません。
業界事情にも詳しいのでキャリアを活かして転職するための方針も提案してもらえる可能性があります。
専門職を雇用したいと思っている企業の中には専門サイトにしか求人を出さないところも少なくありません。
専門サイトを使うと候補にできる求人の数も多くなるのでマッチングの成功率も高くなります。
第二新卒なら若手向けのサイトを選ぼう
第二新卒として転職を検討している人は、若手向けの転職サイトを利用するのが大切です。
第二新卒を募集したいと考えている企業は一般的な転職サイトよりも第二新卒向けの転職サイトに求人を出した方が候補となる人材が多いと考えている場合が多いからです。
若手向けの転職サイトでは転職に際してのサポートも充実している傾向があります。
転職前に研修を受けられるなどのメリットが多い転職サイトもあるので、まずは若手向けのサイトから登録先を探してみるのが賢明です。
キャリアアップを目指すならハイクラス向けのサイトを選ぼう
転職でキャリアアップしたいという人はマッチングを受けるときにその意図をよく理解してくれる転職サイトを選ぶことが必須です。
ハイクラス向けにサービスを展開している転職サイトもあるので、登録先としてまず検討してみましょう。
ハイクラス向けの転職サイトにも職種や業種によって得手不得手があり、登録先を誤ってしまうと内定率は低くなってしまいがちです。
自分が希望している職種や業種を明確にして、その分野で強みを持っている転職サイトを使うのが合理的でしょう。
サイトによって扱っているクラスにも違いがあります。
まだミドルクラスだという人はミドルクラス向けの転職サイトを選ぶ必要があるということも念頭に置いておくのが大切です。
内定率の事情を考慮して転職サイトを選ぼう
転職サイトの内定率の定義は曖昧な部分が多く、宣伝広告を見て内定率が高いからこの転職サイトに登録しようと考えてしまうのはあまり賢明な考え方だとは言えません。
速やかに転職したいという場合にはエントリーしてすぐに内定がもらえるように対策を考えることが必要です。
転職サイトの選び方に注意するのは効果的な方法で、できる限りマッチングの成功率が高いと期待できる転職サイトを選ぶのが肝心です。
今までに培ってきたキャリアや、転職先として考えている業界、転職するときの年齢によって持つべき方針にも違いがあります。
自分の状況をまずは整理して登録先として魅力が大きい転職サイトを選ぶようにしましょう。