この転職は失敗だった!と税理士が感じた瞬間と、成功のための7つの条件
「こんなはずじゃなかった!」
転職後にそう後悔する税理士は結構多いのです。
慎重に選んだはずなのに失敗してしまうのは何故でしょうか?
ここでは実際にありがちな失敗事例と、税理士が転職に成功するための条件を解説します。
私はコレで失敗した!税理士が転職で後悔したこと
税理士の転職でありがちな失敗パターンを紹介します。
話が違う!残業が多すぎる
「残業が洒落にならないほど多い」と転職後に後悔するパターンは多いです。
税理士事務所は入ってみないと分からないので「そういうことはある!」と頭では分かっていても、その予想をはるかに超えるほど、広告と勤務実態が乖離している事務所があるのです。
特にパート、アルバイト社員をうまく活用できない事務所などは、簡単な入力作業まで全て担当しなければなりません。
会計事務所は大半が零細企業。
業務効率化ができなければ業務タスクは増える一方で、いくら働いても仕事は一向に減りません。
繁忙期に事務所に寝泊まりする程度ならまだマシで、常時月100時間以上の残業をしなければいけない事務所も存在します。
転職後に「話が全然違う!」と思っても後の祭り。
事務所が回らないのであればやるしかありません。
繁忙期の業務量が想像以上だった
税理士事務所は確定申告時期が繁忙期となります。
その時期が忙しいのは常識なので覚悟をしてはいたものの、実際に入ったら想像をはるかに超えていた…ということもあります。
これはブラック事務所に限ったことではありません。
優良な事務所でも人手不足になれば十分起こりうることです。
例えば面接時に所長が「うちの事務所は繁忙期も19時には退社できるよ」と言ったとしても、途中で退職者が出れば周りが穴埋めせざるを得ません。
そのタイミングが繁忙期と重なれば、人数の少ない事務所なら休日出勤は当たり前、平日は終電まで家に帰れない…ということになるでしょう。
退職者、休職者の出現は不可抗力以外の何物でもないのですが、失敗事例としては意外に多いのです。
所長が個性的すぎる
会計事務所は人数が少ないので、良くも悪くも所長次第で天国か地獄かが決まります。
所長が素晴らしい人格者であれば、毎日やりがいをもって生き生きと働くことができるでしょう。
しかし、実際には、余りにも所長が個性的であるが故、人間関係に疲れ果ててしまうケースが多いのです。
インターネットを検索してみると、税理士事務所の上下関係で悩んでいる人が実に多いことが分かります。
面接ではいい人そうだったのに…実際はパワハラの権化のような人だった、ということもザラにあります。
人間関係こそ入ってみないと分からないので、事前対策できないのが辛いところです。
有資格者が少なすぎる
全従業員数に対し資格保持者が少ない事務所も要注意です。
有資格者が少ないと活躍の場が増えそうだと思いきや、実は真逆のことも多いからです。
税理士の資格を持っている人が少ない事務所は、資格保持者をそれほど高く評価していないか、資格を生かせる業務が少ない可能性があります。
また、税理士試験受験者の支援体制がないので、合格者がでないというケースもあるでしょう。
受験者を応援しないのは、合格した人を活かせる環境がないことの証左です。
その場合、将来性という点では赤信号と判断せざるを得ません。
年齢層が偏っている
社員の年齢層が偏っている場合、自分の離れているほど入社後にコミュニケーションで苦労することが予想されますが、問題はそれだけではありません。
事務所の年齢層が偏っている場合、運営が上手くいっていない可能性があります。
特にスタッフが高齢者ばかり、若手ばかりという極端なケースは要注意です。
高齢者ばかりの職場は新しい情報も乏しく、仕事のやり方も旧態依然としており、運営スタイルは現状維持が基本となります。
その中で新しいことをやりたいと思うと…ちょっと辛いことになりそうです。
また、所長以外は若手だけというパターンも危険です。
長く経営している事務所に若い人しかいないというのは不自然で、それだけ人の入れ替わりが激しいということに他なりません。
このような年齢構成の会社は業界問わずブラック事務所の可能性が高いでしょう。
税理士が転職に成功するための7つの条件
税理士の転職で失敗をしないためには、どうしたら良いのでしょうか?
転職の優先順位を決める
転職の際にはいろいろな条件が気になるものです。
給与、勤務地、福利厚生、業務内容、将来性…etcなど挙げたらきりがありません。
全ての条件を希望通りに満たせる職場というのは限定的で、大抵は一長一短あるものです。
転職を成功させるには、条件に優先順位をつけることが大事で、何を大事にしたいかはっきりさせておくことが大事です。
自分のやりたいことを明確にする
自分のやりたいことを明確にすることも転職成功の助けになります。
その軸がはっきりすると条件の優先順位も自ずと決まります。
例えば「転職を通じて将来性を広げたい、そのために色んな業務にトライしたい」という意思がはっきりしていれば、他のことが少々不満足でも我慢ができます。
「給与が少しくらい低くてもいい」「残業が多くても頑張ろう」という発想になるので、転職後に後悔をすることもなくなります。
面接で必要なことは必ず聞く
転職時の面接では気になることは全部聞いておきましょう。
特に以下の事柄はチェックしておくことをおすすめします。
社員の勤続年数
社員の平均的な勤続年数はその事務所の職場環境の良し悪しを図る目安になります。
社員の勤続年数が長ければそれだけ働きやすい職場ということになりますし、短ければブラックの可能性が高いでしょう。
仮に平均で2~3年と言われたら、その事務所は従業員が長く勤務できない原因があるのかもしれません。
その場合「勤続年数が短い理由は何か?」と単刀直入に聞くのもありで、その回答で事務所の実態を知ることができるでしょう。
実際の給与水準
税理士事務所の給与は明確な基準がないことも多いので、面接では給与についてもしっかり質問しましょう。
賞与の支払い、昇給の有無についてもどうなのか、クリアにしておくことをおすすめします。
回答が曖昧であれば、所長の気分次第ということもあります。
個人事務所は特にその傾向が強いので、不明点は最初に明らかにしておきましょう。
残業時間
残業時間を少なくしたい場合は、残業については必ずチェックしましょう。
特に働きながら勉強をする場合は残業時間は少ない方が良いので、残業が多い会社は候補から外すことをおすすめします。
学校に行っている人がいるかどうか
税理士資格をこれから目指す場合は、学校に行っている人がいるかどうかも確認してください。
学校に行っている人が全くいない場合は、通えるような環境ではないのかもしれません。
また、周りに仲間がいないと勉強も続かなくなるので、モチベーションの維持という点でも、受験生のいる事務所を選んだ方が得策です。
性善説で信じ切るのは危険
面接の場で採用担当者が会社の悪口を言うことはありません。
「ウチは残業が少ない」「職場の風通しは良い」と条件の良さや魅力をアピールされることも多いでしょう。
しかし、その言葉を性善説で信じすぎるのも考え物で、100%鵜呑みにすると後でがっかりする可能性があります。
転職の際は、面接はあくまでも面接で、入社後に全てその通りになるとは限らない、という位に構えておくことも必要です。
目先の年収に飛びつかない
転職の際は目先の年収に飛びつかないようにすることも大事です。
それよりも「税理士としてその会社で何ができるか」ということを軸に選んだ方が、高いモチベーションで働くことができるでしょう。
結果として生涯賃金も上がる可能性もあります。
従業員の属性を確認する
従業員の構成、属性等を確認することでも、転職先の実態を伺い知ることができます。
例えばスタッフが女性だけで、男性が全くいない場合、男性スタッフを育てられない事務所である可能性が高いでしょう。
また、年齢構成も重要で、30~40代の中間層がいない事務所は、何らかの原因があって、人が育たないのかもしれません。
さらに、スタッフが沢山いても有資格者がほとんどいない場合は、そこにいても資格はとれないと判断したほうが賢明です。
男女比、年齢構成、資格保持者の有無など、従業員の属性でも色んなことが見えてくるので、その事務所が自分に合いそうか判断する助けになります。
転職はタイミングが命
転職はタイミングが命です。
自分の属性、希望、スキルが相手のニーズに合えば採用されます。
特に「年齢」は重要ですが、歳だけを理由に転職に踏み切ると、他の要素がついてこないので却って上手くいきません。
転職が上手くいくかは最終的には縁次第。
自分なりのベストタイミングで、納得のいく転職活動をすることをおすすめします。
まとめ
税理士の転職の失敗例と、成功のための条件について解説しました。
自分が何をしたいのかをはっきりさせると優先順位がクリアになります。
ぜひここで紹介したポイントを押さえて自分に合った転職先を見つけて下さい。