転職サイトを利用するときには費用が一切かからないのが魅力です。
しかし、転職についてのヒアリングやコンサルティングをしてもらい、様々なサポートを無料で受け、転職に成功した暁には祝い金が出る転職サイトもあります。
転職サイトが祝い金を出す方針を立てているのはどうしてなのでしょうか。
その実態と注意点を押さえておきましょう。
祝い金をもらえる転職サイトがある
全ての転職サイトが転職成功の暁に祝い金を出すシステムにしているわけではありませんが、相当数の転職サイトが祝い金を出しているのが現状です。
祝い金とはどのようなもので、どうしたら手に入れられるのでしょうか。
転職に成功しただけではもらえない
祝い金は転職に成功して企業との雇用契約をした人に対して支払われる仕組みになっています。
祝い金のシステムを導入している転職サイトに登録し、そのサイトから応募したり、エージェントに仲介してもらったりして採用が決まることは必須条件です。
しかし、それだけでは祝い金が支払われないので注意しましょう。
基本的には転職してから数ヶ月間の継続勤務が条件とされていて、その確認ができてから支払われることになります。
また、転職してから所定の手続きを自分で行わないと支給されない仕組みになっているのが通例です。
少し手間がかかっても欲しい人にだけ支払うというスタンスだと理解しておきましょう。
一般的な祝い金受領の流れ
祝い金をもらうための手続きは会社によって少しずつ違いがありますが、基本的には次のようになっています。
まず、転職サイトに登録して求人を紹介してもらうか、公開求人の中から希望するものを選んで応募するのが最初の段階です。
ただし、サイトによってはその前に祝い金のキャンペーンなどにエントリーする必要がある場合もあります。
そして、選考を通過して内定をもらい、その事実を転職サイトに報告することが必要です。
電話やメールで済む場合もありますが、ウェブサイトのマイページから登録作業をしなければならないこともあります。
内定結果の通知とは別に祝い金の申請手続きを求められることが多いので注意が必要です。
これで待っていれば銀行口座などに振り込んでもらえるかというとそうではありません。
振り込んでもらえる時期になったらまた申請をしなければならない場合がほとんどです。
入社してから三ヶ月後に支給となっている場合には、その頃になって申請手続きをすると在籍確認が行われ、確かに働いていることがわかったら支給されるという仕組みになっています。
サイトによっては二回以上に分けて支払われることもあり、その都度、支給を申請しなければならないのが一般的です。
期間内に申請しないと祝い金は手に入らないのでスケジュールをメモして気にかけておくのが無難でしょう。
祝い金の相場は幅広い
祝い金はいくらもらえるのかというのは気に掛かるポイントでしょう。
祝い金は業界相場が決まっているわけではなく、実は祝い金がない転職サイトの方が多いのが実情です。
祝い金を出している転職サイトの間でも特に足並みを揃える様子はありません。
少ないところでも1万円は支給していますが、高いところなら40万円程度になっています。
ただし、同じサイトでも最大何万円となっているときには注意が必要です。
正社員で年収がいくら以上ならいくら、パートの場合にはいくらといった形で内容に応じて金額が異なる場合があります。
特に祝い金が多い転職サイトを使いたいと考えて比較するときには気をつけなければならないでしょう。
転職サイトが祝い金を出すのはなぜか
転職サイトを利用する立場から考えれば無料で使えるだけでも魅力的なサービスでしょう。
そこにさらに祝い金を出すシステムにしているのはなぜかと疑問に思うのはもっともなことです。
しかし、転職サイト側にもしっかりとした意図があります。
登録者をできるだけ増やすため
祝い金がある転職サイトとない転職サイトがあった場合に、どちらを選ぶかと言われたら祝い金をもらえる方にするという人は多いでしょう。
転職サイトとしてはできるだけ多くの登録者を獲得することが重要です。
企業からの求めに応じて適切な人材を紹介するのが転職サイトの本来の仕事で、常にニーズに合っている人材を紹介することが求められています。
しかし、十分な母集団を確保できないと適材適所で人材を紹介することができません。
他の転職サイトと比較したときにこちらを選んで欲しいと考えたら、明確なメリットがあることが肝心です。
その一つとして祝い金を設定している転職サイトが多いでしょう。
転職を遂げようという意志を強く持ってもらうため
登録者には転職を遂げる意志を持って欲しいからというのも重要な理由です。
転職サイトは雇用契約を結ばせることができると企業から報酬をもらえますが、そのためには転職を成功させなければなりません。
転職サイト側の本音としては短期間で転職先を決めてくれるのが望ましく、長期化してしまったり、挙げ句の果てに転職をやめられてしまったりすると大きな損失になります。
祝い金には転職しようという意志をしっかりと持ってもらいたいという願いが込められているのです。
内定辞退や早期退職を防ぐため
祝い金は転職してから何ヶ月か働き続けないともらうことはできません。
これは内定辞退や早期退職への対策ともなっています。
企業としては内定を出したのに入社直前に辞退してしまったり、採用したのにわずか数週間で辞めてしまったりすると痛手になります。
そのような人材を紹介した転職サイトの信用も失われてしまうでしょう。
すると転職サイトはその企業から求人をもらえなくなるなどの問題が発生します。
その対策として、少なくとも入社して何ヶ月かは働き続けようと考えてもらえるように祝い金を設定しているのです。
祝い金について注意しておきたいこと
祝い金がもらえる転職サイトを使おうと思ったときには、申請手続きが大変だということはまず押さえておく必要があります。
しかし、注意点はそれだけではありません。
少なくとも以下に挙げる二点は念頭に置いて転職サイトを使うようにしましょう。
求人が少ないことがある
祝い金の設定がある転職サイトには求人が少ないことが珍しくありません。
企業側がその転職サイトに求人を出すのをためらってしまうことがあるからです。
企業の視点からは祝い金があるのがプラスにもマイナスにも働きます。
確かに登録して転職しようとしている人が大勢登録していると期待でき、優秀な人材を紹介してくれると考えられるでしょう。
しかし、その祝い金の出所は元を正してみると企業からの報酬です。
つまり、祝い金を設定している場合には高い報酬を求められるケースが多いのです。
相場は採用した人に提示した年収の25%から35%程度になっていますが、平均的には30%です。
5%も違うと数十万円の費用差が生じるので、他の転職サイトにしか求人を出さないという企業も少なくありません。
ただ、転職サイトは一つだけしか使ってはならないというルールはありません。
他の転職サイトにも登録しておき、それぞれから求人を紹介してもらえば取りこぼしは少なくなります。
祝い金がある転職サイトに登録するときには、少なくとももう一つは転職サイトに登録するという方針にした方がより良い求人に出会える可能性が高まるでしょう。
サポートが不十分なことがある
企業への請求額を上乗せしていないにもかかわらず、祝い金のシステムがある転職サイトもあります。
この場合には求人数は他の転職サイトに比べて特に劣ることはなく、むしろたくさん見つけられる可能性もあるでしょう。
しかし、登録してから受けられるサポートの内容が不十分なことがあります。
他の転職サイトと同じ相場で報酬をもらいながら祝い金を出せるようにするにはどこかでコストを削減しなければなりません。
単純なのは人件費を削減する方法でしょう。
祝い金がある転職サイトではエージェント一人あたりの担当者数がとても多くなっていることがあります。
すると必然的に一人にかけられる時間が短くなり、なかなか求人を紹介してくれない、連絡が遅い、書類や面接の対策に応じてくれないなどの力不足が生じるリスクがあるのです。
また、コスト削減のために対面での面談を受けられなかったり、基本的にウェブベースで詳しい相談をするのが難しかったりする場合もあります。
そのようなサポート体制が整っているかをよく確認した上で利用しましょう。
祝い金目当てになるリスクがある
祝い金がある転職サイトに登録すると、祝い金をもらおうという気持ちが強くなってしまいがちです。
そして、人によっては祝い金目当てで転職することになってしまうリスクもあります。
他の転職サイトも併用しているときに、そちらで魅力的な求人が見つかっても応募を差し控えようと思ってしまうかもしれません。
せっかく待遇が理想に近い求人があったのに祝い金がないという理由で応募をためらっていたら募集が打ち切られてしまうこともあるでしょう。
さらに、祝い金を手に入れるために妥協して転職先を決めてしまい、やはり転職しなければ良かったと後悔するケースも想定できます。
祝い金がある転職サイトを使うときには目標を見失わないようにするのが肝心です。
祝い金の実態を知って良し悪しを考えよう
転職サイトを利用して理想的な形で転職を遂げることができ、さらに祝い金までもらえたらとても嬉しいでしょう。
申請手続きの手間があるとはいえ、数万円から数十万円の収入になると考えたら魅力が大きいのは確かです。
転職サイトとしては登録者を増やし、転職して働き続ける意志を高めるために設定しているシステムですが、その費用は企業からの報酬から担われています。
企業が報酬の相場の高さに圧倒されて求人を出すのを躊躇してしまい、他の転職サイトに比べると求人が少ないこともあるので注意しましょう。
転職サイトは他のサイトと併用することもできますが、併用しても祝い金に目が眩んでしまうと他のサイトの求人に応募するのはためらってしまいがちです。
転職の目標を見失わないように意識して利用するようにしましょう。